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【コラム】モノ言う労働者への嫌がらせを許さない

2023/09/27
昨年8月、赤穂温泉「吞海楼」従業員Mさんから、「オーナーが中国人経営者に変わり、ハラスメントや理不尽な退職強要について経営側の姿勢を問題にする態度をとったところ、職場集会で経営側から名誉棄損で訴える云々の発言があった」という相談を受けた。

第一回団体交渉で、Mさんの問題行動を改めさせるために職場集会を開催したといった説明が代理人弁護士からあった。「名誉棄損」云々と言ったことについては、「支配人の名誉を傷付ける発言を多くの人に対してMさんが行ったから」との説明を受けたが、Mさんが発言内容の訂正を行ったので、弁護士から「この程度のことで解雇されるようなことは無い」との認識が示され、この問題は収束したかに思われた。

ところがその後、Mさんに1月賞与が支給されなかったことから、3月に第二回交渉を行った。「旅館全体の業績が赤字基調であり、Mさんが所属する施設メンテナンス部門が修理を外注化するなど経費が嵩んだこと」が理由であるといった説明を受けたが、「修理の外注化は設備の経年劣化が原因で、メンテナンス部門は利益を生み出す部署ではなく、そうした評価は適切ではない」と反論した。使用者側からは「会長の判断であり、詳しい内容は聞かされていない」と述べるに止まり、継続交渉となった。

第三回交渉で経営側は賞与不支給に関する説明を殆ど行わず、Mさんが他の従業員の二輪車に対して悪戯行為を行ったと疑われる動画を見せ、論点をはぐらかす態度に終始した。時間切れにより、次回交渉で「Mさんが雇用される際、施設の修理をする前提の契約だったのか」「外注コストが経営を圧迫したと言われる修理は、外注せずに済んだ内容だったのか」「Mさんにだけ賞与不支給とした理由は何なのか」を明確に回答するよう求めた。モノ言う労働者への嫌がらせを許すわけにはいかない。(細川雅弘)

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