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【コラム】契約社員の退職金差別で団体交渉

2019/12/24
姫路市内在住のトレーラー運転手Tさんから今年4月に労働相談を受けた。当時、彼は59歳、半年毎に契約更新する契約社員だった。今の勤務先に雇用されて6年間、無事故・無違反で仕事ぶりには自信があったが、正社員との格差が著しく、月例給や賞与、休暇制度等の点で差別があり、60歳定年時に契約社員には退職金が支給されないのは不合理だと申し立てた。

「正社員しか担当が回ってこない研修リーダーも務めたことがある。しかし、正社員には支給される功労金が自分には支給されなかった」というTさんの話を聞いた時、会社はTさんを「便利屋」として使っていると感じた。実質的に正社員と同じ仕事をさせているにもかかわらず、契約上の身分関係を盾にとって労働条件に差をつけることは不合理であると、ユニオンは会社に格差是正を申入れた。

実はこの件で、ユニオン内部における意見は分かれた。Tさんの訴えに対し、「雇用契約を結んだ時点で正社員と異なる労働条件を了解したのだから、格差はやむを得ないのではないか」とする意見があった。これに対し、「私たちは法廷で争おうとしているのではない。ユニオンとして団体交渉を行い、Tさんの要求を会社に認めさせることに全力を挙げるべきである」といった反論があり、熟議の結果、彼の主張に寄り添い団体交渉を会社に申し入れようとの結論に至った。

団体交渉は2回行ったが、予想通り会社は契約を盾に取って正社員と同一の扱いはできないと強弁した。その上、「規定により、定年後は運転手から構内作業員に配置転換することになる」と言い渡されて、運転手として働き続けることを希望するTさんは会社を去る決意をした。

退職条件の引上げをねばり強く求めた結果、会社は私たちの要求を一部認め、正社員と同じ水準で算出した退職金相当額の解決金+αの支払いを提示してきたので和解することとなった。(細川雅弘)

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