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【コラム】労働者のクビは勝手に切れない!

2017/08/15
姫路市郊外にあるA病院に勤務していたKさんは6月27日に突然、退職勧奨を受けた。通知書に挙げられた理由は、「隠れて喫煙し火のついた煙草を隣地へ捨てた」に始まり、「組織に対する批判を就業中に同僚等に言いふらし周囲の勤労意欲を引き下げる等、誠実勤務とはおよそ言い難い態度であったため」とあった。
当然そのような事実は無いのだが、Kさんの存在を嫌悪した病院は就業規則違反を根拠に6月30日付けで解雇した。

姫路ユニオンは同日付で病院長に対して解雇撤回を求めて団体交渉を申入れ、7月13日に第1回交渉を実施した。交渉では、解雇の根拠とされる「不誠実な勤務態度」について事実確認を求めたが、病院側は解雇通知書に記載のある「具体的言動」を繰り返すことしかできなかった。

仮にそうした事実があった場合でも本人から弁明を聴く機会を設けるなり、また、勤務態度を改めるよう文書で改善を求める等の手続きを行ったのか尋ねたが、まったく行っていないことが判明した。

社労士の同席を得て行った第2回交渉でも、病院側が解雇の根拠とした事実が事務長の誤認であったことが判明し、解雇権の濫用であったことが交渉の場で明らかとなった。「解雇を撤回するか法廷で争うか、明確に答えよ」と通告し、次回交渉で回答を示させることとした。

労働法制をろくに理解せず、使用者側の都合で自由に労働者の雇用を奪えるとでも思っている無知な経営者と相対することがよくある。「日本の法律は簡単に労働者のクビを切ることができないようになっている。ご存じないのか」と団体交渉の席で何度となく言ってきたが、私たちが扱ってきた労働相談など、全体からすれば微々たるものでしかない。これまで以上に幅広く宣伝活動を行い、多くの労働相談を受け付けることで、使用者の不当な扱いに立ち向かっていく労働者の支えになっていきたいと、切に思う。(細川雅弘)

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